ストーカー行為をしないまでも、誰でもストーカー的な心理なったことはあるのではないでしょうか。

精神科医の福井裕輝氏著「ストーカー病」を参考になぜストーカーになるのか、そして、ストーカーからどうやって身を守るべきかをお伝えします。

 

 

ストーカーは恨みの中毒症状?

 

福井氏はストーカー行為を一種の病気としてとらえています。
ストーカー行為を行う人の8割は初期段階の警察の口頭・文書警告でおさまると言われています。
残りの2割は警察が警告しても、ストーカー行為をやめずに、殺人などの凶悪な行為に踏み込んでいきます。
もともとストーカー行為を行う人は、被害者側に対して強烈な被害意識を持っていると言います。「自分がつきまとうのは相手のせい」だと思い込みながら、被害者に拒絶されながらも、自分の都合のいいよう事実を捻じ曲げ、「自分の良さがわかれば被害者も振り向いてくれる」という思い込みを持っています。
まわりに何を言われても聞く耳は持っていません。
身勝手な思いが実を結ぶはずもなく、思い込みはやがて被害者への恨みの感情に変わっていきます。
恨みの気持ちは自分の中でどんどん膨らんでいき【恨みの中毒症状】が起きます。
恨みのダムが決壊した時に、凶悪な犯罪につながって行きます。

 

ストーカーは依存症と似て非なる病気

 

ストーカー行為はアルコールやギャンブルなどの依存症と同じ症状なのではないかと思うかもしれません。
愛しい人がいるのが当たり前だったのに、突然いなくなって、強く求める……
しかし、他の依存症であれば、欲しいものを手に入れたら、一時的に禁断症状はおさまります。
ところが、ストーカー行為は相手を求めながらも、その実、相手に暴力をふるったり、相手の悪口を拡散したり、愛情とはかけはなれた行動を起こします。

「自分のところに戻って欲しい」「ずっと愛している」と言いながらも、やっている行動は相手が嫌がること不幸になることをしているのです。

依存症は脳の側坐核が刺激されるのに対し、ストーカーは脳の線条体と呼ばれる部分を刺激することが分かっています。

被害者に対するねたみの気持ちが心の中にあり、被害者が悲しい思いをすると気持ちがスーッとするのです。
「人の不幸は蜜の味」
と言います。

自分よりすこし上の立場の者に強烈なねたみの感情があって、そんな人が少しでも失敗したり、不幸な目にあったら、自分が小さな幸せを体に入れる以上に、嬉しくなってしまうことってありませんか?

ストーカーは誰もが持つような感情が歯止めが効かなくなった状態のようです。

 

被害者になりやすいタイプ

 

福井氏はストーカーになりやすいタイプの性格も分類していますが、ストーカーの被害者になりやすい傾向のタイプも指摘しています。

・母性的であり、同情や共感しやすい。
・責任感が強い。
・自己犠牲が強く、忍耐強い
・他者の面倒をみたり、尽くしたりすることを好む。
・頼みごとや要求を断れず相手をつい受容してしまう。

職業で言えば、看護師や介護職員など相手に奉仕する仕事に多いタイプです。
いわゆるまわりから【いい人】だと思われている人です。

内面には家庭環境や成長過程の中でつちかわれた負の心理を抱えていて、罪の意識や自己評価が低い傾向があります。

家柄のよしあしではなく、外から見えないところでトラウマを抱えている人が多いようです。

また親の狭い価値観だけを押しつけられて育った人は、限られた条件下の中でしか自分の価値を認められることがなく自信が持てません。
つねに不安を抱えています。

 

狙われやすいタイプ

 

全ての被害者になりやすいタイプの人がストーカー被害に遭うわけではありません。
凶悪事件にまで発展した被害者と加害者の多くが出会い系サイト、マッチングアプリ、SNSなどのネット経由で知り合っています。

出会いも恋愛のリアリティーが欠如しているなら、別れもあっさりとしています。
すぐにアカウントを消去して、スイッチを切るように関係を断ちます。
突然、繋がっていたと思っていた相手を失って、加害者はどんどん思いを募らせるのはいたしかたがないかもしれません。

ITはストーカー事件を増幅させる役割を果たしていることは否定できません。

 

ストーカーから身を守る方法

 

福井氏が提唱する被害者がストーカーから身を守る手順は、

1・自分が被害者であるという自覚を持つこと
2・相手に自分の意思を伝える
3・愛情も好意もないこと
4・交際するつもりはない
5・電話はメールつきまといは迷惑であり、恐怖であること
6・今後一切この行為をやめること

以上の6つを相手に伝えるように言います。

3・友達や家族にも仲介してもらうのは危険

 

加害者の間に友達や家族が仲介してもらった方がいいと言う意見もありますが、
第3者を介すると、自分の思いの邪魔をしてきたと思い、加害者にさらなる憎悪を植えつけるリスクがあります。

4・今後一切相手との接触を避ける

 

前述の通り、ストーカーの被害に遭いやすい人は共感しやすく、相手を受容しやすい傾向があります。
相手に対して、同情の素振りを見せたら、加害者が弱みにつけこんできます。
情を一切捨てて、相手との接触を断つことが肝心です。

それでもストーキングがおさまらない場合は、危険なレベルになっています。
別記事の「ストーカーから姿を消す方法」を参考にして完全に加害者から姿を消した方が安全です。