青砥瑞人著「ハッピーストレス」から前回はストレスが貯まる仕組みと、ダークストレスを軽減する方法をお伝えてしました。
今回はいよいよダークストレスをブライトストレスにかえて、脳を活性化する方法をお伝えします。

 

 

激動の時代、ブライトストレスを活かす方法を知らないと乗り切れない

 

「できればストレスなんかゼロで生きたい」というのが多くの人の本音かもしれませんが、
変動性、不確実性、複雑性、曖昧性、VUCAの時代では変化するのが当たり前。
「インバウンド」「仮想通貨」などこの前まで成功していたビジネスモデルがあっというまに、負け組になってしまうほど変化が急激です。
否が応でも変化に対応しなければいけませんが、変化には常にストレスがつきものです。
青砥氏はこの変化を生きていくには「しなやかな頑固さ」が必要だと説きます。
失敗を恐れて昔からのやり方に固執する頑固さ、よりも、新しいものを恐れず挑戦しながらも、成し遂げたいものをしっかり持っている芯の強さが必要です。
そのためにも、ダークストレスをできるだけブライトストレスに切り替える必要があります。

 

ダークストレスをブライトストレスにかえるのを手助けする物質

 

ダークストレスもブライトストレスも元々は同じ。ではなにが善玉と悪玉を分けるのでしょうか?
青砥さんは心、思考、記憶のありようが善玉と悪玉との分岐点だといいます。
ストレスを感じた際に、脳が生み出す科学物質がかわるとおのずと、ストレス反応もかわっていきます。
ワクワクするときに生まれる物質ノルアドレナリンとドーパミンです。
ワクワクして自発的に好きなことに取り組んでいるときにはドーパミンが分泌され、緊張するようなプレッシャーがあるときにノルアドレナリンが発生します。
この2つは1セットで、自発的にやる行動でもプレッシャーがあり、責任のある仕事をやる場合でもワクワク感があります。
ノルアドレナリンが必要とされる場合は、できるだけ集中がそがれないように落ち着ける場所を選んで仕事をする。
逆に、プレッシャーがかかる場合はできるだけワクワク感ドーパミンを出すように工夫します。この場合はもう既に知っているものを再び求めるWANTの感情よりも、緊張のある中でも自分の好奇心を満たす好奇心、SEEKの感情を満たすことが大切です。
ベータエンドルフィン
快楽物質と呼ばれるベータエンドルフィンですが、あまりにも効き過ぎると「楽しいことは好きだけど嫌なことは避ける」気持ちが働き過ぎて、「やらなければならない」ときに働くドーパミンを抑制する作用が働き、最初は面白そうでやってみたけど、長続きしない、3日坊主になるのを防いでくれます。
自分の好きなもの、興味の幅を広げることで、よりベータエンドルフィンが活性化し、かつドーパミンを利用できる環境が整います。
ノルアドレナリンが活性化したときに生じるストレス物質コルチゾールが生まれ、脳に不快感が生まれますがDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)はコルチゾールの発生を抑制する作用があります。
DHEAがあれば普通なら緊張する場面でも落ち着いて行動でき、新しい挑戦に挑んで失敗する恐怖心を抑えて、不確実性の時代にチャレンジすることができます。

 

モヤモヤ、堂々巡り、葛藤、目からウロコ! ダメな思考も実は脳の成長にはいい

 

新しいジャンルを勉強したら「ちょっと何言っているか分からない」と頭がモヤモヤします。
未知の情報に出くわすと危険を感じて、不快感を示すためにダークストレスとして解釈しがちです。しかし、モヤモヤはむしろ新しいものに出会った証拠なので、喜んで受けいれないといけないのです。「モヤモヤは新しい出会いの証拠」です。
また、同じ事をぐるぐると考え続ける堂々巡りですが、実は堂々巡りをしながらも、思考を深めているのです。言わば、らせん階段のように同じ所をグルグル回っているつもりでも、出口に向かって向上しているのです。
自分の中にいろんな意見があってぶつかり葛藤するのも、脳の成長のためには欠かせないものです。
同じストレスでもいいものとして捉えるか、悪いものとして捉えるか

ブライトストレスを味方につける脳

最終章ではブライトストレスを味方につける脳の1つに打たれ強くなるレジリエンス脳が紹介されています。
今までビジネスではプラン、DO、チェック、アクションのPDCAサイクルが成長するのに有効だと言われていました。
しかし、青砥さん曰くPDCAサイクルは精神面を扱うには不向きです。
PDCAサイクルだと自分のマイナス面にばっかり目がいって、自信をなくしてパフォーマンスが下がってしまうのだそうです。
むしろ、根拠なき自信をもって失敗を恐れずに、プロセスを重視する方法が、これからの時代には合っているのでしょう。
東京オリンピックで、メダルを期待された有名選手がことごとく不本意な成績になり、むしろ、あまり注目されてこなかった選手の方が成績を残しているのも不安定な中を練習してきたしなやかさがあったからこそかもしれません。