ない方がいい、溜まってしまったら必ず解消したいのがストレス……
が今までの常識でしたが、応用神経学者・青砥瑞人さんの著書「ハッピーストレス」では、ストレスにはいいストレスと悪いストレスがあり、いいストレスを味方につければ生産性もアップ!脳も進化して
言うことないらしいのです。
まさに目からウロコ。
善玉コレステロールみたいなものですかね。
いいストレスはブライトストレス、悪いストレスはダークストレスと定義し、ストレスを活用する方法を考察します。

 

 

現代人は常に外側の刺激に囚われすぎている

 

人間は常に内側と外側に意識があります。
しかし、現代文明は常に外側に向かって意識が向かうようにできています。会社、学校などの仕事・勉強もそうですし、空いている時間は常にパソコン・スマホを見ています。
文明がそこまで発達する前までは、外側に向かう以外の時間は必ず内側に向かう時間のゆとりがありました。
マインドフルネスや、ソロキャンプのたき火などが注目されているのは、意識的に内側に意識を向けようとする時代の要請かももしれません。
ストレスを解消するためにはまず内側に意識を向けることが大事なのです。

 

人間は標準がネガティブ

 

人間の脳は元々ネガティブなものに目が行きがちな構造にできています。
ネガティブな刺激を受けると、ネガティブなことを受け止める脳の部位ははっきりとしているのに、ポジティブな刺激を受けた場合に脳のどこに刺激を受けるかはいまだにはっきりしていないそうです。
それは原始時代には人類は危機を回避して生き残ることが目的だったからです。
危機を敏感に感じ取り、一度起こった危険は忘れないようにしっかり記憶しておく。
これは生きるか死ぬかの時代には非常に有効でした。
ところが、新しいことに挑戦しなければならない現代社会には、そぐわない機能になってきています。
危険を察知する「ネガティブバイアス」に囚われてばかりだと、段々の脳内の環境がネガティブに染まっていき、ちょっとしたことでもストレスに感じ、ストレスが貯まりやすくなります。
内側に意識を向ける余裕のない現代人だとたちまち、ネガティブを吸い寄せ、あっという間にストレスだらけになります。
そのままでほっておくとうつ病になったり、無気力になったりします。
ストレスは放っておけば、単なるダークストレスになり、意識的にブライトストレスに切り替える作業をしないいけません。
ポジティブ思考が大事なのは、ネガティブに反応しやすいようにできており、人為的にこまめにポジティブになる癖づけをしてやり、脳内をポジティブな環境にかえていく必要があるからです。

 

ストレスが脳内に貯まる仕組み

 

脳内にストレスが貯まる仕組みを細かく見てみましょう。
ストレスは私たちがそれをストレスと認識してはじめてストレスとなります。
ストレスの原因となるもの「ストレッサー」が起こり、「ストレス反応」があり、ストレスになります。
かりに同じストレス原因でも、ストレス反応が起こらなければ、あるいはストレス反応が抑えることができればストレスにならずに対処できます。
庭に雑草が生えてきたら大きくならないうちに刈り取るように、ストレスが大きくならないうちに、こまめに気がついて、刈り取っていくことが大事です。

 

ダークストレスにならないうちにこまめに刈り取る

 

親や教師、上司に怒鳴られて、その言葉を素直にすぐ受け入れられますか?
大概は思考停止になって、アドバイスの内容よりも、ああこの人恐い!などの恐怖・不安の感情が刻まれます。
人間は心が安全地帯にならないと、身にならないのです。
巨大なストレスを感じた場合は、心の安全地帯に戻してあげることが大事です。

そのためには
・ヨガやなどのちょっと難易度の高い運動や、文章を書く、絵を描く、楽器演奏など頭を別のことに使ってストレス要因から気を逸らす。
・無意識に自分の行動に対して過剰な結果や見返りを期待しているので、その期待に気がついて、結果や見返りの期待値を下げるのが大事です。

 

ダークストレスを減らす方法

 

直接ストレスを減らすことはできませんが、脳内にホルモンを増やすことでダークストレスを軽減。
ベータエンドルフィンは心から笑える状態になると作られる脳内で作られる物質で、お笑いや大好きなエンタテインメントなどを楽しむと活性化します。
心を落ち着かせる作用のある物質セロトニンは単調なリズムを繰り返すことで分泌されます。
お気に入りの音楽やダンスを楽しむ、皿洗いやキャベツ刻みなど単調な仕事をあえて組み込むことで心を落ち着かせることができます。
ちょっとハードな運動を行うとベータエンドルフィンとセロトニンが活性化して、少々のストレスには動じない脳になります。
エグゼクティブや知的な仕事をしている人がトライアスロンやマラソンをしているのは、きつい運動であえてストレスを与えることで、ストレスに耐えうる脳環境を造りだしているからです。
その他、子供やペットで触れあうことで生まれるオキシトシンや深呼吸をすることで副交感神経が働くことが紹介されています。
ストレスを軽減する方法は昔から行われている方法で、無意識に行われてきているようですね。