今般、離婚原因の上位に入る精神的DV(ドメスティック・バイオレンス)ですが、具体的にどのような被害なのでしょうか?

今回は、精神的DVと似ていると言われるモラハラ(モラルハラスメント)との違いや、

離婚裁判におけるその証拠の取り方をご説明させていただきます。

 

 

■精神的DVとは

 

精神的DVとは

夫婦間、近親者間での身体的、精神的な暴力全体の中での、とくに精神的な被害を一括りにした言い方を「精神的DV」と呼びます。

具体的には相手をけなす、罵る、馬鹿にするなど、人格を否定する発言をしたり、無視をする、生活費を渡さない、交友関係を制限する、仕事をさせない、別れを切り出すと自殺をほのめかす、また性行為の強要など、言葉の暴力以外の内容でも精神的DVとみなされます。

身体的DVに比べ身体的に跡が残らない分、立証するのが難しいとも言えます。

 

■モラハラとは

 

一方、モラハラは相手に対する言葉の暴力という点で精神的DVと酷使しています。全くの別物というわけではなく、モラハラの延長線上に精神的DVがあると考えた方がいいでしょう。

具体的には、加害者の一方的な考えで相手を否定し続け、精神的に追い詰めます。

「お前はいつも駄目だ」「なぜこれが出来なかった?」「常識がない」などのセリフを言い続け、さらには相手の努力を全く認めず、マイナスな点ばかり指摘し続けるのも特徴です。

またモラハラをする人は他所での態度は全く普通のため、他に相談をしても理解してもらえないことも多いようです。

そしてあまりにも日常的に繰り返されるため、本人でさえモラハラを受けていることに気付いていない場合もあります。

 

■精神的DVやモラハラでも慰謝料の請求は可能?

 

長い間、精神的DVやモラハラの被害に被害にあわれた方は離婚しようと思っても、相手と対等に話し合うことはとても困難でしょう。

そうなると家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

そこでしっかりとした「証拠」用意していれば裁判での慰謝料の請求も充分可能です。

またその際、DVやモラハラ問題を得意とする弁護士を選ぶのも大切です。

 

■証拠の取り方

 

モラハラにおいては裁判に有利になる一番の証拠は、毎日の日記をつけることです。

また、声を録音することも大事な証拠になります。

いつ、何時ごろ、どんな時、どんな風に酷い言葉を言われたかをメモや日記に残しましょう。

 

また精神的DVにあたる、交友関係を制限する、自殺をほのめかす、性行為の強要などもその出来事の事実を日記やメモに書き記すと良いでしょう。

 

生活費を渡さない等の金銭的DVは預金通帳のコピーや家計簿などが証拠になります。

 

もし精神的なストレスによりうつ病などの症状が現れた場合には、精神科もしくは心療内科で受診し医師の診断書を残しておくことも大事です。

 

どれもとても手間がかかりますが、裁判でしっかりと立証するには証拠を集めるしかありません。

 

■別居をするなら証拠を集めてから

 

精神的DVやモラハラはすぐにでもその場から逃げ出したいという気持ちになりますが、証拠も取らずに家から逃げ出してしまうと、別居が原因により夫婦関係が破綻した。という風にこちらが不利なってしまうので、それは避けるべきです。

 

目に見えない被害だからこそまずは、離婚に向けて証拠を十分にそろえてから、次に自分の身を守るために相手から離れましょう。

しっかりとした順序を踏むことで確実にあなたが有利になるはずです。