井口博著「パワハラ問題」には「パワハラ経営者管理職にならないために」という章があり、パワハラ問題を起こしがちな上司のタイプを紹介しています。

そちらはあくまでも上司側に注意を促す内容ですが、逆に言うと雇われる側にとっても有益な情報です。

「パワハラ問題」には上司のタイプ別に対策方法も紹介しています。

これから紹介する上司のタイプを知っておき、あらかじめパワハラ対策をとることをお勧めします。

 

 

瞬間湯沸かし器型

 

瞬間湯沸かし器のようにすぐにカッとなるタイプです。
このタイプは感情の起伏が激しいものの、カッとしなければ沈着冷静で仕事ができる人が多いです。
管理職の場合は、外面がよく、上司や顧客に対してはいい顔をするので、出世しているケースも多いのです。

このタイプは感情に任せて動いているだけで、自分にはパワハラの自覚がないことが多いのです。
意図的なイジメや嫌がらせはほとんどありません。
誰も遠慮して注意できず、部下は怖がって近づけないので余計に自覚する機会がないのです。
昔は職場によくいたタイプでしたが、パワハラが問題視される今では少なくなりました。

若い時には寛容だったのに、老化のため怒りっぽくなったタイプです。

 

ストレスはけ口=八つ当たり型

 

このタイプはプライベートのゴタゴタを仕事に持ち込んで、ストレスのはけ口を部下にぶつけます。
ストレスが内容が軽ければ問題ないのですが、ストレスが強くなればなるほど、ハラスメントの度合いが強くなっていきます。

 

瞬間湯沸かし器とストレスはけ口型の対処法

 

「パワハラ問題」では、この二つのタイプに対して、アンガー・マネジメントを勧めています。
それ以前に自分が怒りっぽい、部下のせいじゃないのに部下に怒りをぶつけている事実を自覚するのが肝心ですね。

 

鬼コーチ型

 

たびたびマスコミで取り上げられるスポーツ指導者のパワハラですが、 会社にもこの手のタイプが存在します 。

このタイプは、成果の大小は様々ですが、実際に結果も残していて、自分のやり方が正しいからこそ結果出たと思っています。
会社側も実際に成果を出している鬼コーチに対して、あまり強く注意することができません。
場合によっては、会社全体の空気をを支配していることも……。
昔はそれでよかったのですが、現代のルールでは一発アウト。
だいぶ前にルールは改正されているのですが、鬼コーチの耳には届かなかったようです。

 

俺が一番形

 

このタイプは、あからさまに声をあげたり、厳しい指導をしたりはしません。
理知的で、仕事ができるタイプですが、自分の反対の意見をいうものは徹底的に排除します。

この手の人も、実際に仕事で結果を出しているので、まわりの人は文句が言えません。
弁も立つので、論破された方が悪いような印象になり、パワハラとまわりから気がつかれないのも厄介です。

 

好き嫌い

 

部下の好き嫌いがはっきりしていて、好きな部下は必要以上に徹底してかわいがり、嫌いな部下に対しては徹底的にいじめや嫌がらせをする。

この場合、贔屓される方の部下は、上司を優しい神や仏のように思って感謝しています。
一方、パワハラされる部下は、他の部下とも距離があり、孤立しがちです。
贔屓される部下は、他の人がパワハラされてもそれを信じがたいでしょうし、もし、パワハラを知っても、自分にとっては恩人を売るようなことはできず、必然的に見て見ぬふりをします。
ですから、余計にハラスメントが助長されて、表に出にくくなり、裏で握りつぶすようになります。

某オリンピック競技の監督も、好きな選手は徹底的にかわいがって、引き上げる一方。金メダルを何回も取っている世界的な実力を持つ選手を徹底的に干していました。

 

会社ぐるみ型

 

組織的にパワハラを行い社員を無理やり自主退社に追い込みます。
あるいは、社員に過重な労働を強いるために構造的にブラックな会社です。
当然ながら、そういう組織は、パワハラ対策をまともに行うわけがありません。
社内でハラスメントを訴えても無駄なので、違う対策を取る必要があります。

 

本当に一番怖いのは無意識パワハラ

 

パワハラにははじめからハラスメントと意識して、いじめ・いやがらせを行う意図的パワハラ。
パワハラのつもりはないのに、気がついたら指導が行き過ぎてしまう無意識パワハラの2種類があります。
本当に怖いのは後者の無意識の場合です。
前者の場合は、意図的な場合は自分がパワハラをしているという自覚があるので、被害者の様子を見て、手加減ができます。
ところが、無意識の場合は自分がパワハラをしている自覚がないので、歯止めが効かず、気がついたら被害者を精神的に危険な状態に追い詰めてしまうからです。

上司になったら、以上ようなタイプにならないように気をつけて、また、このような上司に当たったら、パワハラの被害者にならないように気をつけましょう。