ジャニー喜多川氏による性加害問題が世間に大きな衝撃を与えたことをきっかけに、これまで見過ごされがちだった「男性の性被害」にようやく注目が集まるようになりました。
とある統計によれば、日本国内だけでも年間7万人を超える男の子が何らかの性暴力を受けているという報告があります。この数字は、社会が抱える深刻な問題の一端を物語っています。
長らく「男の子は性被害を受けない」「男は強いものだ」という思い込みが根強く残っていた日本において、こうした現実がようやく浮き彫りになってきたのです。いま私たちには、この思い込みを捨て、現実を直視することが求められています。
男性の性被害が理解されにくかった背景
かつての日本の刑法では、強姦罪の定義に「女子を姦淫した者」という文言が用いられており、被害者は女性に限定されていました。また、ペニスの膣への挿入を伴う行為だけが強姦として扱われていたため、男性や少年が被害者となる事例は、そもそも「犯罪」として認識されにくい土壌があったのです。
しかし2017年の法改正により、被害者・加害者の性別にかかわらず罪が成立するようになり、さらに2023年には、挿入の対象を体の一部や物にまで拡大するなど、より実態に即した内容へと変化しました。
とはいえ、こうした法改正はごく最近のことであり、長年続いた旧来の価値観が未だに社会全体に根付いているため、男性の性被害は依然として認識されにくく、語られることも少ないのが現状です。
性被害と同性愛は無関係
ジャニーズ事務所が性加害問題を否定していた当時、デヴィ夫人はフランスの作家ジャン・コクトーの同性愛を引き合いに出し、ジャニー喜多川氏の行動を擁護するような発言をしました。しかし、同性愛と性加害はまったくの別問題です。
ジャニー氏が行っていたのは、未成年の少年たちに対して同意のない性的行為を強いた「犯罪行為」であり、たとえ被害者が成人であったとしても、同意がない以上は明確な性暴力です。未成年者であれば、仮に「同意」があったとしても、法的には淫行罪が成立する場合があります。
加えて、日本では明治以降、「同性愛」に対して強い偏見や嫌悪感(ホモフォビア)が社会に広まりました。その結果、性的加害の被害者が「同性愛的な気配がある」と見なされることで、かえって差別の対象となり、被害を口にしづらい状況が生まれてしまったのです。
このように、ホモフォビアは加害者よりもむしろ被害者を貶め、沈黙させる力を持っています。結果として、多くの男性被害者が「声を上げられない」まま、孤立と苦しみの中に置き去りにされてきました。
男性被害者が声を上げづらい理由
男性が性被害を訴えにくい要因のひとつに、「被害時に性的反応が起こる」という生理現象があります。たとえ本人の意思に反していても、勃起や射精が起きる場合があり、被害者自身が「自分もどこかで受け入れてしまったのではないか」と罪悪感を抱いてしまうのです。
「体は嘘をつかないね」といった加害者の言葉が、さらに被害者の混乱と自責を深めていきます。特に性経験がない少年にとっては、自分に何が起こったのかを理解するまでに時間がかかります。
ジャニー氏の被害に遭った元ジャニーズJr.の多くも、「最初は何が起きたのか分からなかった」「後になって理解した」という証言を残しています。
デヴィ夫人は同じ動画で「すぐに訴えなかったのか」と述べましたが、被害の認識すらできていない段階で声を上げることなど、到底できるはずがありません。
見過ごされてきた加害者の存在
警視庁少年課の統計によると、性虐待事件において男性が被害者となった場合、加害者の性別は男性・女性がほぼ半々だったという結果が出ています。性暴力は必ずしも「男が加害者、女が被害者」という構図には当てはまりません。女性が加害者になるケースも、決して少なくないのです。
また、加害者の多くは「顔見知り」であり、家庭内での加害が圧倒的に多いという事実も見逃せません。女子の場合は父親による性加害が多いのに対し、男子は母親から性的虐待を受けるケースが多く見られます。つまり、母親が男女問わず子どもに対して性暴力を行う事例が一定数存在するのです。
社会として向き合うべき課題
「男性の性被害」は、これまで表に出づらかっただけで、実際には多くの被害が潜在しています。声を上げられなかった人々が少しずつ実情を語り始めた今こそ、社会がその声に耳を傾け、適切な支援体制を整える必要があります。
性暴力は、性別や年齢に関係なく、人の尊厳を深く傷つける行為です。今後は「男性も被害を受ける存在である」という前提に立ち、教育や法整備、啓発活動を通じて、誰もが安心して暮らせる社会を目指すことが求められています。
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特に、子どもや若い男性が被害者の場合は「証拠の収集」や「秘密裏の調査」が必要になるケースもあります。
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