民事訴訟手続きIT化で浮気の裁判も変わるのか
2026年5月21日から、民事訴訟手続きのIT化が全面的に始まりました。
これにより、民事裁判ではインターネットを利用した申立てや資料提出、裁判所からの送達、訴訟記録の電子管理などが進められるようになります。裁判所も、令和8年5月21日から民事訴訟手続きのデジタル化が始まると案内しています。
これまで裁判というと、書類を準備して裁判所へ提出し、期日に出頭するというイメージが強かったと思います。
しかし、今後は手続きの一部がオンライン化され、以前よりも利用しやすくなる部分はあるでしょう。
では、浮気や不倫の慰謝料請求も、裁判で簡単に解決できるようになるのでしょうか。
デジタル化されても裁判の負担はなくならない
民事訴訟がIT化されると聞くと、裁判が簡単になるように感じる方もいるかもしれません。
確かに、書類の提出や記録の閲覧などがデジタル化されれば、手続き面で便利になる部分はあります。
しかし、裁判そのものの負担がなくなるわけではありません。
浮気や不倫の裁判になれば、証拠の提出、主張の整理、相手方からの反論、弁護士との打ち合わせなどが必要になります。
弁護士に依頼すれば、当然ながら弁護士費用もかかります。
また、裁判は一度始めればすぐに終わるものではありません。
相手が争ってくれば、解決までに数年かかることもあり、精神的な負担も大きくなります。
つまり、手続きがデジタル化されたとしても、浮気問題の解決が簡単になるわけではないのです。
慰謝料は裁判にすれば高くなるとは限らない
不倫問題では、「裁判をすれば高額な慰謝料が取れる」と考える方がいます。
しかし実際には、裁判になって必ず高額になるわけではありません。
不倫の慰謝料は、婚姻期間、不倫期間、子どもの有無、夫婦関係への影響、離婚に至ったかどうかなど、さまざまな事情をもとに判断されます。
そのため、思っていたよりも低い金額になることの方が多いです。
さらに、裁判で慰謝料が認められたとしても、そこに至るまでに弁護士費用や時間がかかります。
結果として、費用対効果を考えると、裁判は最善とは言えません。
大切なのは裁判ではなく、言い逃れできない証拠
浮気や不倫問題で一番大切なのは、裁判を起こすことではありません。
重要なのは、相手が言い逃れできない証拠を持っているかどうかです。
証拠が弱い状態で相手に慰謝料を請求しても、
「ただの友人です」
「食事をしただけです」
「ホテルには行っていません」
「肉体関係はありません」
「相談に乗っていただけです」
このように否定されてしまう可能性があります。
一方で、ホテルの出入り、宿泊、相手宅への出入り、継続的な接触など、不貞関係を示す証拠がしっかり揃っていれば、相手の対応は大きく変わります。
証拠があれば示談で終わる可能性が高くなる
浮気のご相談で多いのが「裁判に勝てる証拠が欲しいんです」など、裁判をするのが前提でのお話です。
しかし、しっかりとした証拠がある場合は、裁判をせずに示談で解決できるケースが多くあります。
相手方としても、明確な証拠がある状態で裁判になれば、勝てる見込みが少ないのです。
裁判になれば、時間もかかります。(数年)
弁護士費用もかかります。
家族や職場に知られるリスクも出てきます。
精神的な負担も大きくなります。
そのため、証拠が揃っている場合、相手としても「負けるために裁判をする」メリットはありません。
結果として、慰謝料の支払い、接触禁止、誓約書の作成など、示談での解決に進みやすくなるのです。
証拠が弱いと、裁判どころか話し合いも不利になる
反対に、証拠が不十分なまま相手に話をしてしまうと、状況が悪くなることがあります。
相手が警戒する。
スマホの履歴を消される。
会う頻度を減らされる。
会う場所を変えられる。
会うパターンを変えられる。
「証拠がないなら関係ない」と開き直られる。
このようになると、後から証拠を取ることができなくなります。
特に、不倫関係が続いているうちは証拠を押さえやすいですが、一度問い詰めて警戒されると、接触の仕方が変わってしまいます。
そのため、浮気を疑った段階で感情的に問い詰めるのではなく、まずは冷静に行動を確認することが大切です。
IT化されても、浮気問題の本質は変わらない
民事訴訟手続きがIT化されることで、裁判の手続きは便利になっていくでしょう。
しかし、浮気や不倫問題の本質は変わりません。
必要なのは、相手が否定できない客観的な証拠です。
LINEのやり取りだけでは、不十分な場合が多いです。
一緒に食事をしていた、車に乗っていた、連絡を取り合っていたというだけでは、「友人関係」と言われてしまいます。
やはり重要なのは、ラブホテルの出入り、宿泊、相手宅への出入りなど、第三者が見ても不貞関係を判断しやすい証拠です。
裁判にする前に、示談で終わらせる準備を
浮気や不倫問題では、裁判をすることが目的ではありません。
本来の目的は、問題を早期に解決することです。
慰謝料を請求したい。
不倫相手と別れさせたい。
接触をやめさせたい。
離婚や夫婦関係の再構築に向けて話を進めたい。
そのためには、まず証拠が必要です。
証拠があれば、弁護士に相談した際にも話が進めやすくなります。
相手方との示談交渉でも、こちらが有利に進められます。
民事訴訟がデジタル化されても、裁判になれば時間も費用もかかります。
だからこそ、最初から裁判ありきで考えるのではなく、しっかりとした証拠を押さえたうえで、できる限り示談で終わらせることが現実的です。
浮気を疑った時は、感情的に問い詰める前に、まずは事実を確認すること。
そして、相手が言い逃れできない証拠を取ること。
それが、裁判に頼らず、早期解決を目指すために大切な進め方です。
トラスト探偵事務所 滝沢高幸



