離婚の数は年々減少しているのに、逆にその数が増えているのが、50代から60代の所謂「熟年離婚」で。全体の5分の1を超えています。

子育てや家のローンの返済なども、一段落して年金暮らしを待つ段階での離婚のほとんどが妻からの申し出のようです。

「定年して一日中家にいる夫と一緒にいたくない!」というのが妻の本音かもしれません。しかし、離婚前の財産をしっかり把握して、平等に財産を分割できるように協議しないと、「老後の資金がありません!」という事態になりかねません。

 

熟年離婚の財産分与で妻が気をつけるべきこと

 

平等に財産分与して老後は安泰と思っていたが…

 

56歳のA子さんは子供2人が大学を卒業し就職したことをきっかけに夫に離婚を持ちかけました。不動産屋や預貯金の共有財産が半分入るから、生活には困らないと計算して、生活費には当面困らないと考えていました。

そのため財産分与は夫に任せっきりにしてしまいます。

離婚後しばらくすると、夫は隠し口座を持っていており、しかも、共有財産の対象になるはずの退職金も貰えない契約になっていました。

A子さんが疑いもせずに離婚協議書にサインをしてしまったのが原因でした。
財産分与と共に離婚後の生活を安定させるのが年金分割。夫や会社員や公務員の場合、婚姻期間中に払い込んだ厚生年金保険料を最大50%受け取ることができます。厚生年金を受け取る際に厚生年金を受け取るようになりますので、老後の生活を安定することになります。

50歳以上である場合、離婚後、自分にどれだけ年金分割されるのかを知るには、年金事務所で年金分割のための情報通知書を請求すれば、見込額を知ることができます。

 

浮気が原因で離婚して、財産分与でタップリお金が入ると思ったものの……

 

B子さんの夫は祖父の代からの3代目社長で、結婚生活は何不自由なく暮らしていました。しかし、夫の浮気が発覚し、愛人にお金を使い込んでいたことが発覚しました。

2年の別居生活の後、離婚を決意。土地と建物は数億円の評価額なので、億単位のお金が入ると計算していました。しかし、土地と建物は夫の親から贈与された「特有財産」なので、財産分与の対象にはなりません。
また夫が別居中に購入した不動産も財産分与の対象外になります。

離婚してもあまり財産分与が期待できない場合、別居したまま、婚姻費用をもらい続けて生活をした方が金銭的お得なようです。
離婚を切り出す前は財産の現状把握を正確に行うことが大切です。