「探偵」と「興信所」は、どちらも民間からの依頼を受けて調査を行う機関です。「どちらも同じようなもの」と考えている方も多いと思いますが、実際は業務内容が少々異なることが多いです。本記事では、探偵と興信所について、それぞれ比較しながら違いを解説していきます

 

 

探偵と興信所の違いとは？

 

探偵と興信所は、どちらも同じものと思われがちですが、実際は業務内容によって分けられています。探偵は、浮気調査や人探しなどの調査を中心に行います。これに対して、興信所は企業や個人の信用情報、雇用調査を中心に行います。探偵が調査を行う際は、基本的に探偵の身分を隠して行います。「人に見つからないように調査する」のが探偵調査の鉄則です。興信所の場合は、身分を明かして調査を行うことが多いです。

 

ただし、探偵と興信所は法律で明確に分けられている訳ではありません。探偵が信用調査・雇用調査を行っても問題ありませんし、興信所が浮気調査を行ってもO.K.です。名称の認知度としては、興信所よりも探偵の方が高いので、最近は「探偵事務所」として各種調査を行っているケースが多いですね。

 

興信所という名称で探偵業務を行っても問題ありませんが、業務を始める前に公安委員会に届出を出すことは必要です。届出の提出は探偵業法で定められているものですので、届出を出さずに探偵業を行うと行政処分の対象となります。

 

興信所のルーツ

 

なぜ探偵と興信所で分かれているのか、その理由はそれぞれの歴史的なルーツにあります。

 

日本で初めて興信所が設立されたのは、明治時代とされています。明治時代になると多くの企業が設立されるようになり、取引の企業が信用に足る企業なのか、調査する必要性が増してきました。1900年には、信用調査業務を主軸に行う「帝国興信所」が設立されます。帝国興信所は、信用調査業務の最大手である「帝国データバンク」の前進です。帝国データバンクは、浮気調査などの探偵業務は行ってしませんが、帝国興信所の時代では各種探偵業務も請け負っていました。この段階から、興信所と探偵の境目が徐々にあいまいになってきます。

 

探偵のルーツ

 

探偵の歴史は興信所よりも古いです。始まりは19世紀のフランスで活躍した「フランソワ・ヴィドック」とされています。日本では明治時代に探偵企業が設立されます。当時の探偵は警察と協力して事件の捜査を行うこともあり、現代の探偵よりも漫画の探偵イメージに近いです。刑事事件の調査に加えて、浮気調査や素行調査、人探しなども請け負うようになります。その後、探偵と警察のすみ分けがなされるようになり、探偵は浮気調査など民事関連の調査に特化していきます。

 

 

探偵・興信所を利用する際の注意点

 

探偵・興信所ともに、利用する際には下記の点に注意するようにしてください。

 

・誇大な広告を表示していないか

・営業許可を受けているか

・契約内容を詳細に説明しているか

 

誇大な広告を表示していないか

 

探偵事務所・興信所の中には、利用者数を増やすために誇大な広告を打ち出しているところもあります。たとえば「100%調査を成功させます」「調査が失敗した場合は、費用は一切かかりません」といった具合です。「100%」「一切」という強調した表現を使って、広告を見た人の印象に残りやすくしています。ただ、どのような世界でも言えることですが「100%成功する」ということはありません。特に、探偵や興信所の調査は、依頼内容や調査の難易度によって、成功確率が低い場合もあります。上記のように、誇大な広告を打ち出している探偵事務所・興信所は利用しない方が得策です。

 

営業許可を受けているか

 

探偵業を行う場合、公安委員会に届出を提出することが義務付けられています。届出が受理されると、公安委員会が「探偵業届出証明書」を交付してくれます。探偵事務所は、この証明書を利用者に見えるように事務所に掲示する必要があります。届出をせずに営業している探偵事務所は「違法」になります。このような探偵事務所を利用してしまうと、後にトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高いので、注意してください。公安委員会から営業許可を受けた探偵事務所を利用するようにしましょう。

 

契約内容を詳細に説明しているか

 

探偵・興信所に調査を依頼することが決まると、各種契約を結ぶことになります。契約の際に、内容を詳細に説明してくれているかチェックするようにしてください。説明が簡略化されていたり、説明そのものがない場合は、その場で契約するのを一旦やめて、時間をかけて契約書の内容をチェックするようにしてください。特に、成功報酬や着手金など金銭関連の項目は、特に注意を払って確認しましょう。

 

依頼内容によって、探偵と興信所を使い分ける

 

探偵と興信所は、それぞれ得意にしている業務が異なってきますので、人探しや浮気調査の場合は探偵に、信用調査・雇用調査を依頼したい場合は興信所に依頼すると良いでしょう。ただ、名称が探偵・興信所であっても必ずしも上記の調査内容が得意であるとは限りません。最終的には、利用を検討している探偵や興信所の評判・口コミなどを確認して、依頼するべきか判断するようにしてください。