イギリスの公共放送BBCの報道番組をきっかけに、元ジャニーズJr.の岡本カウアン氏が故ジャニー喜多川の未成年の少年に対する性暴力の実態が明らかになりました。なぜ生前にはその犯罪が隠蔽され続けたのかを解説します。

 

 

ジャニーズ帝国となって放送局と一緒になって隠蔽

 

ジャニー喜多川氏の少年に対する性暴力の告発は実は古くから行われていました。1980年代の光GENJI全盛の頃、1960年代に結成されたフォーリーブスの北公次の告発はテレビのワイドショーでも取り上げられていました。その頃ジャニーズは男性アイドル事務所の1つに過ぎませんでした。
ところが、SMAPを皮切りに、ドラマ、バラエティ、報道番組と次々と他ジャンルに活動範囲を広げることで、全ての放送局で深いつながりを持つようになり、ジャニーズなしではテレビが成り立たなくなります。ジャニーズ帝国と呼ばれるようになると、ジャニー氏の性犯罪を告発する声はあるものの、全てかき消されて報道されないようになりました。放送局とグルになって犯罪を隠蔽したと言われても仕方ないでしょう。岡本氏も被害にあった15歳のときに、ネットでジャニー氏が青少年の性犯罪で有罪判決を受けながら、犯行を繰りかえしているのを知り、ジャニー氏の権力の強さを知り告発を諦めたと語っていました。

 

明治以来の法律の少年達の性被害は立証しづらい状況だった

 

少年達が性被害を告発しづらかった要因の1つに日本の法制度がありました。
2017年に強制性交等罪に改正されるまで、明治12年に生まれた強姦罪が適用され続けていたのです。
強姦罪が適用されるのは女性だけで、男性は適用されませんでした。ジャニー氏は日本の法律の抜け道を熟知していたのでしょう。
さらに2017年に改正された後も、13歳以上は性行為の同意を本人が行えると規定しています。実家が遠方の少年たちはジャニー氏のマンションに泊まるしかなく、デビューするためにはジャニー氏の性行為を受け入れるしかない状態にあったようです。
マイケル・ジャクソンのものまね芸人・マイコーりょう氏は中学から高校時代にジャニーズJr.に所属していました。千葉県の実家から通っていたマイコー氏は、東京の合宿所に泊まるJr.メンバーが次々とデビューするのを目の当たりにします。ジャニー氏に身体を提供しないかぎりデビューできないと悟り、ジャニーズ事務所を退所します。
ジャニー氏に身体を許した少年は溺愛され、拒む少年達は冷遇されるという図式があったようです。