精神科医片田珠美著「不倫という病」から不倫に対する反応を解説します。

夫婦のどちらかの不倫が発覚 雷が落ちたような衝撃を受けます。その前と後ろでは人生が根本的に変わってしまうと言っても過言ではありません夫婦関係を再構築するかそれとも離婚するかという決断を迫られることも少なくないでしょう。

不倫が発覚するきっかけも不倫の期間も不倫相手との関係も様々です。
また不倫がバレた時にすぐ認める人もいればあくまでもシラを切る人もいます。
たとえ認めても自分は悪くないと自己正当化する人もいれば逆に素直に謝る人もいます。
それぞれの不倫がどれも違うのに対して不倫された側がその事実を知ると怒りに震えるのは古今東西共通のようです。

 

 

不倫を知っての怒り

 

その最大の原因として不倫には嘘や隠蔽がつきものであるよりも、した側が騙されたと感じることがあるでしょう。
当然夫婦間の信頼関係は壊れますしこれ以上にもヒビが入りますその結果、怒りの炎がさらに燃え上がるのです。

その怒りはそれまで夫婦で築いてきた信頼関係に比例して強くなるのです。

 

怒りから復讐願望へ

 

不倫に対する怒りが強いと配偶者と不倫相手への復讐願望が芽生えることもあります。

30代の女性は夫の不倫相手が自分の同級生で、しかも夫との子供を妊娠していると知り愕然とします。

実家暮らしで仕事もせずぶらぶらとしていた同級生。お金にも時間にもゆとりがあるから女磨きもできていたでしょう。

片や、女性の方は育児・家事・仕事に追われて、女磨きをする暇もお金もありませんでした。
同級生に対する憎しみはいかばかりか、分かります。
女性は離婚に際して夫に多額の慰謝料と養育費を請求しました。
不倫相手が妊娠して焦っていたのか、夫は要求通りに慰謝料を支払ったそうです。
女性は夫だけでなく不倫相手の女性にも多額の慰謝料と損害賠償を請求する訴訟を起こしました。
お金が欲しいというよりも、夫と不倫相手の女性を経済的に困窮させたいという狙いがあったからそうです。
配偶者が自分を裏切っていたことを知ると、大抵の人は怒りにかられて、相手を少しでも不幸にしたいと復讐願望を募らせます。
これは怒りの本質からすれば当然と言えるでしょう。
夫に裏切られた妻は「私は何も悪いことなんかしないのに何故こんな目にあわないといけないんですか」と言いました。
この言葉は配偶者の不倫で苦しんだ人の怒りの気持ちを代弁しているのではないでしょうか?

復讐にはお金と時間やエネルギーも必要です。
しかも自分自身が恥をかいたり傷ついたりすることもあります。
それでも相手を少しでも苦しめ罰を与えたいという処罰感情の方が勝るようです。

 

疑い深くなる

 

配偶者の不倫に気付いた後は多くの人が疑い深くなるようです。
それは当然の反応かもしれません。
何しろそれまで信じて疑わなかった相手が嘘をついていてでもまた騙されていたわけですから。
すべてが疑心暗鬼になって、配偶者とやりなおしを困難にするのがこの疑う気持ちです。

 

喪失感に苛まれる

 

不倫された側は大切なものを失ったと感じます。 愛する人を寝取られて失ったと感じるのはもちろんですがそれだけではありません。 同時に、信頼関係、夫婦関係に対して抱いていた幻想も失ってしまったと感じ、もう取り返しがつかないとさえ思うこともあります。
復讐願望を満たすことをする人はかなり性格の強い人で喪失感に苛まれどうすればいいのか見当もつかずオロオロしている人の方がむしろ多数派のような印象を受けます。

 

不倫された側が罪悪感を覚える

 

不倫をした方が罪悪感覚えるのなら納得できますが、された方が罪悪感を覚えるというのがどういうことでしょう?
不倫した方が不倫された方に原因をなすり付け、罪悪感を感じさせるというケースもあります。
自分が悪くないと開き直り、逆に配偶者を責めるタイプが一定数います。
不倫した側が自分を責めてくる矛先を変えて、損をしないための言い逃れにしか過ぎません。
相手の言葉を真正面から受け取る人もいて、不倫する側はパートナーの人のよさにつけこんでいます。

 

恥を気にする

 

世間体を気にして、世間がどう自分たちを見ているかを基準にしている人もいます。
配偶者の不倫を知っても、自分が相手に裏切られたことに怒る前に、相手の不倫が世間に知られてないか、知られる恐れがないかを気にします。
とくに男性の中には妻に寝取られたことを恥とする文化があるので、不倫されたことよりも不倫を知られることを恐れる人もいます。
「恥」を気にする配偶者の性格を把握して、不倫を続ける人もいます。

 

恐怖を感じる

 

「恐怖」が先に立つ人もいます。
これもまた裏切りの怒りよりも、性病感染の恐怖。
配偶者と別れることで、経済的に不安定になることに恐怖が先に立つ人です。
不倫をした側が、恐れが先に立つ配偶者の性格を読み取って、どうせ不倫がバレたとしても、「恐くて離婚なんか言い出さないだろう」と舐められていることも考えられます。