高級ブランドのバッグや時計、服や靴。
「異性にモテたいから」「見た目を良くしたいから」と思われがちですが、実は多くの場合、意識の矛先は同性に向いています。
ブランドを身に着ける行為には、異性へのアピールよりも「同性に対するマウント」「自分の立ち位置の誇示」といった心理が強く働きます。
つまり、「あなたより私の方が上」という無言のメッセージです。

1. 表面的アピール型――ブランドで武装する人たち
ブランド好きな人を見ると、「派手」「浮気性」「モテたい」という印象を持つ方も多いでしょう。
確かに、見た目に気を遣い、人目を意識するタイプほど、恋愛関係もアクティブな傾向があります。
ただ、その根底にあるのは「異性への欲」ではなく、「同性から下に見られたくない」というプライドです。
女性なら「職場の同僚に負けたくない」「ママ友の中で一番オシャレでいたい」。
男性なら「同僚よりいい時計をしていたい」「後輩に舐められたくない」。
ブランド品は、そうした優越感と不安のバランスを保つための“鎧”のような役割を果たしているのです。
実際、浮気調査で見かける「ブランド好きの女性」は、異性にモテるために着飾っているというより、同性社会の中で自分の価値を保つために戦っているケースが多いのです。
つまり、“モテたい”よりも“見下されたくない”という感情が強いのです。
2. 内向的アピール型――控えめな人ほど秘めた虚栄心が強い
一方で、ブランド品にも派手な装いにも興味を示さない、いわゆる“控えめタイプ”の人もいます。
しかし探偵の現場で実際に見ると、このタイプこそ意外な浮気をしているケースが多いのです。
見た目は地味、言葉も柔らかく、他人の前では一歩引くように見える。
けれど内面には、強い劣等感と競争心を抱えている人が少なくありません。
特に同性に対して、「あの人だけは許せない」「あの人よりは上でいたい」という思いを密かに持っている場合があります。
そして、その感情がある種の“復讐”のような形で現れることもある。
たとえば――友人の旦那、同僚の恋人との関係。
「奪いたい」というよりも、「私の方が勝っている」と示したい心理。
つまり、浮気を通じたマウント行為なのです。
外見ではなく、行動そのものがブランドになる。
派手なバッグではなく、“秘密の関係”を自分の優越感として持つ。
このタイプは表向き誠実に見えるため、周囲からはまず疑われません。
だからこそ発覚した時の衝撃は大きく、「まさかあの人が」という言葉が必ず出ます。

3. 浮気は「自己評価のバランス調整」
ブランドを持つ人も、控えめな人も、根底にあるのは同じ心理です。
それは、自分の価値を確認したいという欲求。
ブランドは物でそれを確かめ、浮気は人を通して確かめる行為とも言えます。
「誰かに選ばれたい」「特別でいたい」「勝っていたい」。
これらの感情は恋愛の燃料であり、同時に不倫の引き金にもなります。
特に、日常での承認が少ない人ほど、他者との関係の中で自分の価値を測ろうとします。
それが高級ブランドであり、浮気という行為でもあるのです。
4. 本当の「自信」を持つ人は、比較しない
本当に自信のある人は、ブランドを誇示する必要も、他人の恋人に手を出す必要もありません。
自分の中で価値基準が確立しているからです。
ブランドを身に着けること自体は悪いことではありません。
問題は、“それを身につけないと自分が保てない”状態にあるかどうかです。
探偵という立場から見ていても、浮気に走る人の多くは、自信があるように見えて実はとても脆い。
見た目や関係で「私は大丈夫」と思い込もうとするほど、内側の不安が大きいのです。
つまり、浮気とは自分を誇示したい人が、自分を見失う行為でもあります。
終わりに
ブランドを身に着ける人も、控えめに見える人も、どちらも「他人の目」を強く意識しています。
それが異性か、同性かの違いだけであり、根底には「認められたい」「負けたくない」という人間の普遍的な欲求があります。
ブランドも恋愛も、自分を飾る手段であるうちはいい。
けれどそれが「比較」や「優越」の道具になった時、人は簡単に道を誤ります。
本当の魅力は、他人に見せるものではなく、静かに滲み出るもの。
ブランドを“身に着ける”より、“自分を磨く”ことの方が、はるかに強いアピールになるのです。

