「不幸になりたい」
そう思って結婚するカップルは1組もいません。
みんな幸せを求めて結婚するのに、結果は真逆の地獄。
カサンドラ症候群と呼ばれる人たちもそうです。
どうして、困った状態になるのか? どうすれば改善できるのか?
岡田尊司著「カサンドラ症候群」を参考に、つらい夫婦関係を改善する道を探ります。

 

 

カサンドラ症候群とは?

 

カサンドラ症候群とはある種の障害や特性により心が通わない夫または妻を持ったパートナーに生じる心身の不調を言います。
カサンドラはギリシア神話に登場するトロイ王の娘です。
アポロンはカサンドラの美しさに魅入られて、彼女に予知能力を授けます。
ところがカサンドラはアポロンの恋を拒絶しました。
怒ったアポロンはカサンドラが何を言っても誰も信じないという呪いをかけたのです。
この神話が象徴するように、まわりの人につらさが分かってもらえない症状から、カサンドラ症候群と名付けられました。

かつては悪妻と呼ばれていたソクラテスや夏目漱石の妻ですが、今見直すと彼女たちは「カサンドラ症候群」に苦しめられていたのではないかというのが通説になっています。
実際に漱石の妻は、気難しい性格の夫との関係に苦しみ、メンタル疾患を患っています。

 

アスペルガータイプによく見られる特徴

 

カサンドラ症候群の人のパートナーの多くがアスペルガー症候群であると言われています。
アスペルガー症候群の人の主な特徴は、

・総合的なコミュニケーションや協調して一緒に行動することが苦手
・相手の気持ちに共感したり言外の意味を想像したりすることが苦手
・同じ行動パターンや狭い興味に囚われやすくし視点の切り替えが苦手
・感覚の過敏さいや逆に鈍感さがある

であり、見た目の特徴としては、
目が大きく整った顔立ちをしていることが多く、風貌だけ見るとイケメンや目の大きい美人が多い。

といことです。
モラハラ夫に苦しめられたモグさんの体験漫画「顔で選んだダンナはモラハラの塊でした」の夫の特徴と重なる部分があります。

 

アスペルガータイプのほかの特徴

 

アスペルガー症候群のその他の特徴は、

・自分に興味がある話を一方的にする
・記憶力がよく得意領域はめっぽう詳しい
・神経過敏でこだわりが強い
・聞き取りが弱く相手の話が頭に入らない
・同じことを繰り返すのを好む
・想定外の事態にパニックになりやすい
・ルールや正確さにこだわり
・白黒思考になりやすい

これらの特徴は専門的な職業に就くと、長所となり、周囲からは仕事ができる人、信頼できる人と見られます。
そのために、よけいにカサンドラ症候群の人がパートナーから被害を受けても、気がつかれにくい、逆に「あの人が怒っているんだから、怒られる方に原因がある」と誤解されがちです。
さらに、仕事ができるために収入もあって、生活も安定しており、はた目には何でそこまで苦しんでいるのか理解できない。
当事者もなかなか人にその苦しみを理解してもらえない。
二重の意味の辛さがあります。

 

その他の障害もカサンドラ症候群を引き起こす原因になる

 

カサンドラ症候群を引き起こすのはアスペルガー症候群だけでなく、

回避性愛着障害
・自己愛性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害
・回避性パーソナリティ障害
・シゾイドパーソナリティー障害
・失調型パーソナリティ障害
・妄想性パーソナリティ障害
なども引き起こす可能性があります。
成長期に親との愛情関係がうまく結べなくて、結果歪んだ人間関係しか結べなくなったことが多くの原因のようです。

 

カサンドラ症候群はセックスの悩みに直結する

 

カサンドラ症候群になる人はおおむねセックスレスに悩む人が多いといいます。
もともと人との接触を嫌がるので、スキンシップである性行為を避ける傾向にあります。
性交渉もなくなった上に、パートナーの理不尽な行動のためにますます心身が疲弊します。
性的な欲求不満と精神的な飢餓状態が続き、カサンドラ症候群の人の方が苦しみのあまり浮気してしまうケースがあります。
前述した感覚の鈍さ、あるいは鋭さというように同じ障害でも、真逆の反応が出る場合もあります。
性欲が強すぎて、パートナーの体調や心理にお構いなしにセックスを求めてくるという人もいます。
セックスを拒むと夫婦の義務を怠ったとして、ひどく責めます。
この場合は逆にカサンドラ症候群の当事者の方がセックスに嫌気がさしてしまって、セックスレスになってしまいます。
抑制できない性欲を発散するために、パートナーの方が浮気に走るという場合もあります。
浮気調査は調査対象の行動を調査しますが、浮気の中には当人たちの障害が隠れているケースも少なくありません。

 

カサンドラ症候群を改善できるのか?

 

サンドラ症候群を改善するにはやはり、夫婦共々がお互いを理解して歩み寄る。
歩み寄る努力をし続けることが不可欠です。
残念ながら、一方が努力するだけでは問題は解決されないようです。