カサンドラ症候群とは、ある種の障害や特性により心が通わない夫または妻をもったパートナーに生じる心身の不調のことです。

その被害はパートナーだけでなく、子供たちの成長にもおおきく影響を及ぼします。

また、カサンドラ症候群に陥ったパートナーは、モンスター化してしまうと今度は障害を持ったパートナーの方に大変な負担になります。
特別に不倫やDV、モラハラ的な相手を傷つけるような自覚がなくても、無意識のうちにパートナーに取り返しのつかない痛手を与えている場合もあるのです。

今回は岡田尊司著「カサンドラ症候群」から、カサンドラ症候群の悲劇に陥らないための方法を探っていきます。

 

 

カサンドラ症候群が原因で離婚した場合の末路

カサンドラ症候群か原因で夫婦関係が破綻した場合の代償はけして小さくありません。
子供たちの親権はほとんど妻の方に渡ります。
そして、養育費の支払いの義務だけがのしかかります。
働きはじめてからずっと貯めた財産も半分は妻のものに。
子供を失う寂しさは想像以上だし、喜びや生きがいが少ないのに責務だけを務める毎日。
心の隙間を埋めるためにアルコール依存症やうつになる人もいます。
さらに離婚すれば、健康や寿命に影響するようで、離婚男性はそうでない男性に比べて10%も寿命が縮むというデータも出ています。
一方、妻は生活・育児を1人で背負うことになります。
30代に離婚した妻は再婚のチャンスがありますが、40代になると再婚の可能性はグッと減ります。
男性ほどではありませんが、妻が離婚すると寿命が5%減る結果が出ています。
離婚は夫妻にとってデメリットが多いことになります。

 

パートナーの安全基地になることが必要

カサンドラ症候群を引き起こす原因は、パートナーが生育のときに、親から愛情をうまく結べなかったためだと言われています。
これを「愛着障害」と言います。

愛情がしっかり育まれていれば、母親は子供の気持ちや意図をくみ取れます。
共感的感応ができて母親が子供の安全基地になります。
安全基地が形成されていない場合に愛着障害が起こり、それは人のコミュニケーション、得に夫婦のコミュニケーションに支障をきたします。

 

夫ができること

夫がカサンドラ症候群をひきおこした障害を持つ側だとするならば、問題を解決するために、自分の障害を自覚することが大前提です。
ところが得てして、回避性愛着障害の人の場合、自分の問題を避けるケースが多いのです。
問題を避けているうちに妻の方が既に愛想を尽かしてしまっては手遅れです。まだ妻が夫を責める、問題があると訴えている間はまだ修復のチャンスがあります。
障害を持った人には、共感性が乏しく、感情が表にあらわさないという特徴があります。
自分の特性を知り、それぞれの対処のしかたを知って、パートナーなにどんなときにはどんな対応をすればいいか素直に聞くことが大事です。

 

妻の安全基地になるには?

カサンドラ症候群は親しい関係に必要な安全基地が確立されていません。
妻の心を取り戻すためには、夫は妻の安全基地になるべきです。
そのためにはまず無自覚な攻撃性を見直す必要があります。
相手の安全感を脅かさずに、批難や攻撃はもちろんのこと、一方的な押しつけ支配も関係を壊れる元になります。
障害があるにしても、報告連絡相談などをしなければ仕事は進まないので、職場ではどうにか、障害と折り合いをつけて仕事をこなしているはずです。
だから妻とのコミュニケーションもこまめにシステム化するのをおすすめします。
そして、一番有効なのが家事をすること。
できるだけ家事をして妻の負担を減らすのは効果てきめんです。
妻のルールに従うのを忘れずに。
「カサンドラ症候群」では、ストレスが貯まってイライラしている、人に構っている余裕がないときは黄色い付箋にメッセージを書く「イエローサイン」。トラブルが大きくなる前に話し合う「家族ミーティング」が推奨されています。

 

妻にできること

カサンドラ症候群を解消するための妻の第1歩は夫の障害を理解することです。
アスペルガー症候群の場合は、気持ちを汲み取る能力が弱く、相手の立場に立って思いやったり 気持ちを共有したりすることが苦手です。とくに急に予定が変わる、ルールが変わるなど変化に対応しにくいところがあります。「悪いんですけど」「急なことですみません」など事前に言葉を添えることが大事です。
アスペルガータイプは他の人が、自分のことに関心を持ってくれるのが何よりも喜びになります。
夫の趣味や仕事に興味を持つことで、夫の才能が花開く場合もあります。
回避性愛着障害の場合は、ベタベタする関係より適度な距離感がある方を好みます。コミュニケーションが苦痛なので、社交の場では無理して人に合わせています。
人との愛情が過剰に必要な不安型の人とは、真っ向から志向が対立するので注意が必要です。
回避性の人はストレスが貯まると、必ず1人になる時間が必要です。
問題のある夫の最大の対処法は「放っておく」です。
長年、このスタイルで生きた人に変わってほしいと何度要求しても変わるものではありません。
相手のやりたいようにやらせておくのが最善の対策のようです。