コロナ禍でもネットではまことしやかな噂が飛び交い、同じ新聞や雑誌上でも180度真逆の意見が出て何を信じれば分かりません。
私たちはどんな情報を信じればいいのでしょうか?
ジャーナリストの烏賀陽弘道さんはアメリカ連邦議会調査局でインターンをしていた経験があり、そのときCIAの中国担当分析官からCIAの扱っている「中国情報の95%は公開情報だ」と聞かされます。
CIAと言えば映画などでは機密情報を、盗聴したりデータを盗んだり、はたまた内通者と接近して極秘情報を得るなどスパイのようなイメージ

ですが、実はほとんどを公開情報から拾丹念にデータを拾い集めて違和感があるものを洗い出しているのです。
映画「大統領の陰謀」で有名なウォーターゲート事件も、2021年に亡くなった立花隆氏が首相時代の田中角栄の不正を暴いたのも、全て公開情報を調べた結果です。
探偵事務所の浮気調査でも、盗聴、盗撮、GPSなどを使っても不正に入手した情報では、法的能力がないので浮気の証明しようがないのです。
あくまで正攻法で調べることが大事です。
今回は烏賀陽弘道著「フェイクニュースの見分け方」から偽情報に惑わされない方法を学びます。

 

 

情報を事実に近づけるための情報の割合

 

記者の取材の第1歩は公開情報を丹念に読んで頭に入れることから始まります。
公開情報を入り口に、人に会って話を聞いて情報を重ねていくことで情報の精度が上がりより事実に近い情報になるのです。
Googleなどの検索エンジンはSEOといって検索順位を上げるため作られた記事が上位に上がるシステムになっています。
だから検索順位が上位だからといって、調べる人にとって有益な情報だとは限りません。
烏賀陽さんが信用できる情報は
・「Gサーチ」有料のネット検索サービスです。調べたい用語を入力すると新聞雑誌の切り抜きを紹介してくれます。
後、ネット情報よりも本の情報の方が正確で、
・Amazonでジャンルを調べると関連する本がかなり数列挙されます。
・Amazonで入手不能な本でも、地元の図書館にあるか調べることができます。
Google Chromeのアドインで「その本、図書館にあります」を導入すると、読みたい本が
地元の図書館にあるか調べてくれ、ネット予約することが可能です。

 

根拠のないオピニオンは捨てよ

 

コロナ禍で混乱したのは「ワクチン接種は必要」「ワクチン接種は危険」だったり「コロナは風邪の延長」「放っておけば感染爆発して人が死ぬ」など相反する意見が飛び交い、しかもマスコミでも発言力のある人が根拠のある証拠も出さずに断定することで、さらに混乱を招きました。
しかも根拠と呼ばれる実験やデータがバラバラでどのようにも解釈できるもので、いかようにもねじ曲げられるものもあります。
自分のなじみのある発言力のある言葉は信じたい気持ちは分かりますが、入ってくる情報を鵜呑みにしない冷静さが必要です。

 

発信者が不明の情報は捨てよ

 

「ワクチン接種の副反応が激しい人ほど免疫が作られる」と言われた噂も誰が言ったのか分からない情報でした。
ネット検索で出てくる情報のほとんどが誰の発信なのか分からない情報ばかりです。
大手雑誌の情報サイトでも関係者がまことしやかに発言している記事がありますが、その関係者とは記者が勝手にでっちあげたものである可能性が高いです。
大手出版社の情報サイトは記事を自前で制作しておらず、制作会社に発注し、その下請けを個人のウェブライターに発注しています。
ウェブライターに支払われるギャラが一番末端で低くなり、ネットで拾った情報をまとめた憶測記事を作らざるをえないのです。
どんな意見の情報でも必ず発信者を調べることが大事です。

 

ビッグピクチャーを当てはめよう

 

情報をピンポイントだけで捉えるのではなくて、空間軸と時間軸を広げてみるということです。
わかりやすく言えば「視野を広げる」のです。
たとえば「東京オリパラが開催されて日本が金メダルをたくさん獲得した」というニュースだけではオリンピックが開催されて成功したという印象になります。
しかし空間軸、時間軸を広げると同時期に日本に感染が拡大しており、入院できずに死亡した感染者を多数だしました。
烏賀陽さんは「書かれた内容よりも何を書かなかったに注目をしろ」と言います。

 

フェアネスチェックの視点を持つ

 

マスコミはえてして事実をドラマチックなストーリー展開に演出する方向へむきがちです。
視聴率や発行部数が多い方が売上になるからです。
実像とは違うのに、ヒーローを生み出し、逆に悪役を作って事実を盛ろうとします。
できるだけ正反対の意見の本や情報も読むようにして見方に偏りがないかチェックしましょう。
陰謀史観や企業や政府が宣伝目的で行うキャンペーンには疑ってかかる気持ちが大切です。
現在起こっている事件の全貌は時間が経ってみないと分からないと言うことも忘れてはいけません。
すべての情報は事実に基づいているかを確認することが大切のようです。