エリック・バーカー著『残酷すぎる人間法則』では恋愛の気分の浮き沈みを躁鬱病の症状に似ていると指摘します。
不倫に陥った初期に陥っている恋愛の気分が高揚しすぎて、誰にバレようとも怖くなくなっている精神状態「ラリ期」とも共通するようです。恋愛に溺れると中毒に似た症状を起こすのです。

 

 

恋愛に最も似ている精神疾患とは?

 

本書では恋愛にもっとも似ている精神疾患を強迫神経症と断定しています。なんと恋に落ちたばかりの人は最大で覚醒時間の85%も愛する人のことを考えて過ごしているそうです。常に相手のことが頭から離れない状態です。強迫神経症と熱愛中の人の血液中のセロトニンはほぼ同じ値だそうです。しかし、恋愛の場合は熱が冷めると一気にセロトニンの量が通常に戻ります。
恋愛の状態はまさに中毒症状と同じで、いくらいっしょにいてもまだ足りない「ラリっている」状態と同じようです。しかし、恋愛中の妄想は悪いことばかりではありません。楽観的な妄想を廃して現実を直視すると人は、おおむねうつに陥ります。現実は直視できるほど私達に優しくないのです。頭が多少はお花畑の方が辛い世の中を渡っていけるようです。神様は辛い世界を人間が楽しい妄想で生き抜けるように恋愛を作ったのかもしれません。さらに理性を忘れて相手にのめり込むのは、リスクを負ってでも相手に夢中になっている忠誠心を示すことができます。ラリった行動をする方が相手との愛の絆を証明できるのです。端から見たらとても大人とは思えない無分別な行動は、相手のことしか見ていないからこそできるのです。

 

愛がもたらす最も危険な狂気「理想化」

 

美人女優の不倫相手が夫よりも残念な容姿だったのに驚きますが、ラリ期中の脳では相手の理想化が起きています。誰が見ても首を傾げる相手だとしても、不倫している人にとって不倫相手は理想の人物になっています。また多少の欠点があっても、「あばたもえくぼ」状態で、欠点も魅力に変換されています。まさに恋は盲目状態ですが、普通の純愛や結婚なら、浮気防止にもつながり何の問題もありませんが、不倫の場合でそこまで相手に一途になると、もう引き返せない危険な状態です。このポジティブな錯覚「理想化」も一時的な効果しかありません。ほとんどの場合、12ヵ月から18ヶ月で失われるそうです。結婚して4年後には相手の身勝手さへの不満が2倍になるのだとか。よく「結婚前に同棲してはいけない」とういうのは、結婚前と同じような状況になって相手への気持ちが冷める時期が早くきてしまうからかもしれません。不倫も同じでずっと相思相愛であり続けるのは難しいようです。