安定した仕事についたら生涯その地位と収入は間違いなし―という言われた時代はとっくに過去のものになっています。
社会はどんどん過酷になっているのに、人の価値観が追いついていない状態です。
「こんなはずでは……安定した仕事だって言ってたじゃない……」
夫が突然の退職や転職を余儀なくされて、離婚というケースも少なくないようです。
生涯一職業で後は年金生活で逃げ切りという世代には無縁ですが、人生100年時代を生きるために「ライフピポッド」は覚えていた方がいい概念です。
ご自身のキャリアのために、パートナーの転身を理解するためにも黒田悠介著「ライフピポッド 縦横無尽に未来を描く人生100年時代の転身術」から転身のポイントをお伝えします。

 

 

 

人生100年時代何度もライフスタイルが変化する

 

人生は100年と長くなっているのに、ビジネスのサイクルはどんどん短くなっています。
今や人生計画を立てても、前提条件がどんどん変化していくので意味がなくなりました。
どんな変化にも対応できる準備を進めていた方がいいと言います。
ではどうやれば、いつでもすぐに転換できるキャリアを積み重ねることができるでしょうか?
スティーブ・ジョブズは点を重ねることが「dots」経験の蓄積になると言いますが、
ただ漫然とその場の経験を重ねるのではなくて、自分の経験を分析し、ライフピポッドに必要な資産を自覚的に蓄積することが大事だと言います。
もう1つ大事なのは偶然を味方につけることです。
個人のキャリアの8割は予想もしない偶然によって決定されるのです。
偶然なので自分には意思決定ができませんが、その偶然をポジティブな方に向けるようにします。
バスケットボールで軸足を動かさずに360度方向転換することをピポッドと言いますが、ライフピポッドも同じように自由にキャリアを転換します。
今までのキャリアが直線的に進むのに対して、ライフピポッドは曲線を描いて進みます。
「蓄積+偶然=転換」という図式になります。
たとえば、ライターが仕事でグルメ、スポーツが好きだとします。
インタビューのスキルを使って、インタビュアーになる、インタビュアーを指導する講師にもなれるし、インタビューメディアの運営者にもなれます。
一方、グルメ好きを活かせば、フードライター、飲食店経営者、飲食系コミュニティの運営者、飲食店の知識が詳しいキャリアを活かして飲食店コンサルタントの道もあります。
このようにライターという1つの点でその移動する範囲が広げることができて、その可能性は想像する以上に広いのが分かります。

 

ライフピポッドに大切な3つの蓄積

 

ライフピポッドには
・価値を提供できるスキルセット
・広く多様な人的ネットワーク
・経験によるリアルな自己理解
が必要です。
この3つを詳しく見ていきましょう。

 

価値を提供できるスキル

 

価値を提供できるスキルは3つあります。
「テクニカルスキル」とは、業務遂行能力のことで、プログラミング、ライティングなどの職種の名称に含まれるものです。日常でスキルと呼ばれるとこれを指すことが多いですが、それだけではありません。
コミュニケーションを円滑にしたり、交渉したり、プレゼンしたりする「ヒューマンスキル」
物事を抽象化、多面的、論理的に見て発想を飛躍させ、新たなアイデアを生み出すのを「コンセプチュアルスキル」と言います。
「テクニカルスキル」が重視されますが、むしろ他の2つの方がビジネスを進める上で重要です。
自分の中のこれらのスキルを確かめるためには、自らの人生・キャリアを振り返るのも大切です。
何に時間を使っていたか?
そのときに何を考えていたか?
他の人に比べて苦もなくできることは何か?
などを見て自分のスキルを洗い出してください。

 

広く多様な人的ネットワーク

 

これはずっと社内だけで仕事をしてきた人は苦手で、社外での人脈も活用して来た人の得意分野でしょう。
単なる名刺交換しただけの人脈ではなく、新しい情報や機会をもたらしてくれるのが人的ネットワークに重要です。そのためには自分が情報発信して、相手に価値のある情報を提供することが重要です。
人脈を広げるための行動、広げた人脈を深めるための行動が不可欠です。

 

経験による自己理解

 

たとえば、ずっとプログラムをしてきたけど、「実はプログラムはあまり好きじゃない」と気づく場合もあります。そういう場合はプログラムを離れ違うピポッドで転身を考えます。
努力は夢中に勝てません。夢中になれるものが、ライフピポッドには欠かせないのです。

 

まとめ

 

ライフピポッドを解説してきましたが、パートナーがいる場合転身を理解してもらうことが大事ですね。
今はまだあまり聞き慣れない言葉と概念でしょうが、数年後には一般化するでしょう。
未知の世界に踏み出す場合も、暗闇を何も用意せずに一歩踏み出すのは恐ればかりが先に立ちます。
同じ未知の一歩でも懐中電灯を用意して、冒険の用意をしていけば、軸をぶらさないで前進できます。